プチ小説18 六角編1
無人島からの脱出―――と言われてもその方法が思いつけない以上まず必要なのは生活基盤である。いくら星などにより現在地と方角を知りイカダを作り脱出、などと考えたところでそれが即座に実行に移されるわけもない。いや行動自体はすぐに起こせるだろうがその成果が実るのは残念ながら30分後などという生易しい数値ではない。
というわけで、その間の衣食住確保を優先した六角メンバー。元々自然との触れ合いが多い環境下だからだろうか、自給自足の無人島生活は驚く程彼らによく馴染んだ。―――海の幸山の幸と恵の多い島だったから、ともいえるが。
なんにしろ、その日もまたメンバーらは各々島を探索しつつ自分達に有益となるあらゆるもの―――特に食べ物(断言)。あるいは後にそうなりそうなもの―――を集めていた。
と・・・・・・
「え・・・・・・?」
この日佐伯の見つけたものは―――
―――あまり食べ物とはしたくないものだった。いやそれはともかくとして。
「なんで・・・、人間が・・・・・・?」
「お前こそ、何者だ?」
「おー、ただいまー」
「あ、お帰りバネさん」
「お疲れ様」
「疲れた疲れた。そりゃもーサエが・・・・・・ってあれ? サエはどうした?」
「え? 一緒だったんじゃねえのか?」
「途中でもう少し見てくからって別れたんだけどよ、けどかなり前のことだぜ? 俺も寄り道してたから・・・・・・」
「じゃあ、サエどうしたのね?」
「まさか、何かあったんじゃ―――」
「とりあえず、ただのトラブルなら大丈夫だって思うんだけどな。アイツ頭いいし、いくらでも切り抜けられるんじゃあ・・・・・・」
「でも事故[アクシデント]だったら?」
「崖から海転落とか、ぬかるみにはまって動けないとか、木から落ちて足挫いたとか」
「そういう天然ボケなアイツもどうよ・・・・・・。
でもまあ―――
―――そろそろ日ぃ暮れんな」
ツルと葉っぱで作った簡易テントでの会話。海に沈み行く夕日を見ての黒羽の台詞に、全員がくつろぐ手を止め立ち上がった。その時―――
「ただいま〜」
『サエ(さん)!?』
緊迫感を見事なまでにぶち壊しにするタイミングでの探し人登場に、一同が思い切り声を上げた。
「? 俺だけど?」
首を傾げ、素敵なボケっぷりを発揮してくれる佐伯。きょとんとしたままテントへと入ってくる彼に全員上げた腰をへなへなと下ろす。
無事だったのだからいいのだが、それでも一応心配させた代償としては事情を話させるべきだろう。代表して黒羽が尋ねた。
「お前今までどこ行ってたんだよ?」
「普通に島探索してただけだけど。
―――ああ、そういえばちょっと危険っぽい生物に遭遇したよ」
「危険っぽい生物?」
「ああ。まあ追い払ったけど」
疑問点をたった2文字でスルーさせる彼に、黒羽はそれ以上問うのを止めた。追い払ったのならば問題はないだろう。
「本気でお前って事件[トラブル]に強いよな・・・・・・」
「ありがとう」
呆れて言う黒羽。その真意をどこまで把握したかは不明だが、佐伯はにっこりと笑って答えてきた。
―――はい。1年以上ぶりの更新にしてついに来てしまいました第六の学校。どうでもいいですが丁度いい数ですね。
それはともかく六角。いやあ、月日の移り変わりって怖いなあ。この話書いた当初は存在すら知らなかった・・・・・・というのは厳密には少々違いますが(都大会始まる前に約一名名前のみ挙がってましたし)学校でありながら、その約一名中心にハマりまくった、というのと同時に実はこのサバイバル戦、一番向いてるのは六角じゃなかろうかという疑問点を結論といいますか考察するために参加メンバーに入れてみました。そしてその結果は・・・・・・
――――――まあ次回明らかになります。どうでもいいですがココ、合流点より先が楽そうだ。理由は伏せるとしても・・・・・・。なお伏せられた佐伯トラブル遭遇中は、後に明らかになります。
2004.4.3〜4