プチ小説6 青学編2
「む・・・」
先頭を歩いていた手塚の足が止まる。
「どうした、手塚?」
「道が・・・・・・」
言われて後ろにいた人たちもまた、今までいた通りから顔を出す。そこはちょうど街の中心地らしく、ちょっとした広場になっていた。真中に噴水こそあれ開けた地形―――銃を用いた遠距離攻撃を仕掛けるには正に打ってつけの場所だった。
「どうする?」
乾が尋ねる。『ゲーム』を進める―――街を脱出するためには何としても向こう側へ行かなければならない。迂回してもいいが、そちらのほうが安全である保障はどこにもない。
『・・・・・・』
特に案もなく黙り込む一同の中で、
「じゃあくじ引きでどうかな?」
いつも通りの笑みで不二が言った。何時の間にか持っていた紙をトランプのように(あるいは札束のように)扇形に広げ、みんなの前に突き出す。
「当たりには印をつけておいたから。当たった人がまず行って、安全を確認できたら残りも行くっていうのは?」
「いいっスね、それ」
当たった人の安全は無視されているが、めんどくさい事が嫌いな1年ルーキーはあっさり賛成した。
「じゃあ―――まずは部長の手塚から」
ハイv と差し向けられたカードをこちらもいつも通りの仏頂面で見つめる手塚。1番確率が低いうちに引くのには抵抗がある。だが考えてみればここで自分が当たりを引けば他の人は(一応)安全となる。
「・・・・・・・・・・・・」
10秒程の黙考の後、手塚はカードを引いた。出たカードは―――
『死』 ((C)グルグル)
「―――というわけで手塚に決定!」
「ってちょっと待て。なんで当たりが『死』なんだ?」
「やだなあそんなの冗談だって。そんな事よりホラ早くv それとも何? キミは1回やったクセにやり直しとか要求してくる奴なワケ?」
笑顔のままの不二の脅迫。しかしここでさらに歯向かえばそれを肯定することになる・・・・・・。
「―――よし、わかった」
「そv じゃあ行ってらっしゃいv」
・・・・・・そして不二の予言(宣告)どおりとなる手塚。
「どうやらここは危険みたいだね。じゃあ別の道探そうか」
持っていたカードを捨て、踵を返す不二。全員の視線がその足元に集中した。
「ね、ねえ不二・・・」
「ん?」
「このカード・・・・・・全部当たりじゃにゃい・・・・・・?」
英二の言葉でわかるように、不二の捨てたカードには全て『死』と記されていた。
冷や汗を流す一行をよそに、不二は先程からの笑みを一切崩さぬまま答えた。
「だって僕、当たりは一枚だなんて言ってないよ?」
―――合掌。
―――暗黒不二様発動!! こういうノリは大好きだ!! しかし青学、3−6メイツが出張りすぎるおかげで他の人(特に王子)の出番が少ないような・・・・・・。ちょっぴり悲しい。
2002.10.22(write2002.10.10〜18)