プチ小説3 ルドルフ編1
「んふ・・・・・・」
観月の怪しい笑みに眉をひそめる一同。
代表して裕太が訊いてみる。ちなみに彼が代表になった理由は、笑うと同時、観月に肩を掴まれ前に押し出されているからだ。
「何、ですか? 観月さん・・・・・・」
心底嫌な予感に包まれつつ、それでも健気に尋ねる。
「敵襲のようですね」
「・・・・・・へ?」
さらりと言われた言葉に裕太は沈黙した。敵襲。そして今の状況。
―――考えうる最悪のシナリオを頭に描く。そして・・・
「うわあああ!!?」
それは現実のものとなった。強制的に向かされている方向から、手に棍棒やら何やらを持った暴徒20名程度が意味不明の雄叫びを上げてこちらへと向かってくる。
「み、観月さん。まさか俺の役割って―――!!」
「さあ! 裕太! 今こそ僕の盾になって僕に恩を返しなさい!!」
「そ、そんな・・・・・・!!」
無茶苦茶だが微妙に過去の記憶へフィードバックするものがあり、裕太はなぜだか無性に泣きたくなった。
が、そんな裕太もさすが不二の弟―――というか不二家の血を継ぐ人間。いざというときの冷酷さと自分本位な考えは、この場において最高の選択を彼に与えた。つまり―――
「すいません、ノムタク先輩!!」
「え? オ、オレ?」
一言謝り、観月に肩を固定されながらも野村を足で蹴り出した!
「ああああああぁぁぁ・・・・・・」
「よし、今です!!」
光となって消えていく野村を背に、まだ暴徒のいない逆の道を指し示す裕太。
そんな彼を見送り、観月・柳沢・木更津の3人がつぶやいた。
「んふ。さすがあの不二周助君の弟ですね」
「ってゆーか今の本当に裕太だっただーね?」
「クスクス。おもしろくなりそうだね・・・」
4者4様の思いを抱え、6人(え? 後の2人は?)は騒ぎから遠ざかっていった・・・。
―――うわあ。裕太がついに黒の道(ってどこだよソコ)に染まった〜〜〜!!! この次死ぬのは誰か!? そんなのテーマ見りゃ一目瞭然ですね。ある意味一番面白くなるの青学よりココかもしれません。
2002.10.21(write2002.10.7)