プチ小説4 山吹編1
「うわっ!?」
微妙に緊張感のない声で叫びつつもさすが千石、持ち前の動体視力の良さで飛んできた矢を見切ると、持っていたラケットのフレームでそれを楽々とはたき落とした。
「危ないだろ、亜久津!」
「けっ、どこがだよ」
盾代わりに自分の首根っこを捕まえている亜久津に、千石は自由な首だけを向けて抗議する。が、された相手はそんなものどこ吹く風と見事なまでに聞き流していた、
と―――
「あ!!」
「・・・またかよ」
太一の驚きの声と共に、またどこかで何かの作動する音が鳴り始めた。ここ山吹の面々は、先程からモロバレの罠の90%以上に引っ掛かり、むやみやたらと命の危機にさらされていたりする。誰が原因とは言わないが。
「―――ってそう言いながら君が俺の首をまた掴んでいるように思うのは俺だけかな?」
「いちいちうるせーんだよ。俺に指図すんな」
「いや、そー言われてもねえ・・・・・・」
いつもどおりのヘラヘラ笑いで応え、再びラケットを構える千石。が、
「うわああっ!?」
今度こそ本当に悲鳴を上げる。ごろごろと―――そう、ごろごろと転がってきたものを凝視して。
「あ、あれはさすがにムリなんじゃないかな・・・!」
「あ?」
それだけ言って何をどうやったのか手を外し逃げる千石に、亜久津は初めてそちらを見て―――
「―――!!」
こちらもさすがに逃げ出した。脅威の瞬発力でたまたま見つけた横穴に飛び込んで・・・・・・
ドン!
既にそこにいた千石に激突。反動で元の道に戻る。
そして千石は―――
「―――あ」
前に押された弾みで『モロバレの罠』を踏み込む。
ガコンと音がして、亜久津の弾かれた地点の床が抜けた。
「な―――!?」
大きな石と共に落ちていく亜久津。それを見送りながら、千石はふーっと息をついて額の汗を拭き取った。
「いやあ、危なかった」
「さすが『ラッキー千石』さんっスね」
「あ、亜久津先ぱーい!!」
爽やかに言う千石と、特に何とも思わず相槌を打つ室町。彼らの下で穴を覗き込む太一の叫び声がこだましていた。
Survivor―――南・東方・千石・新渡米・喜多・室町・太一
―――不動峰での予告どおり、D2の2人の名前が思い出せません。1人はおぼろげに覚えてるんだけどなあ・・・・・・。学校で打ってるからFB見るわけにもいかないし。そう、実はコレ、っていうかルドルフもですが学校で打ってたりします。隣には誰もいないけど同じ部屋に人いるのになあ(最早遠い目・・・・・・)。しかしまさか山吹最初の犠牲者が亜久津になるとは。ちょっと予想外・・・・・・だといいな。
2002.10.22(write2002.10.10)