1.誕生日プレゼントは君がいいなv リョーマ君vv
ぜ〜は〜。
「と、取った・・・、けど・・・・・・?」
気絶する英二は放し、リョーマがフラフラと立ち上がった。その手には黄色いボールが。
「うんうんvv」
そして、下ではなぜかやたらと嬉しそうな不二が。
『・・・・・・?』
いや、そもそもの狙いを考えればそのとおりの展開に彼が喜ぶのも納得はいくが・・・・・・。
「何? その怪しさ大爆発の笑顔」
「やだなあリョーマ君そんな褒められると照れるよvv」
「褒めてないから全然。むしろけなしてるし」
「それは残念。まあいいけどね」
「どっちだよ・・・」
「それよりさ、メッセージ見てvv」
「ん?」
(そういえば、ボールになんか書いてあるんだっけ?)
英二と取り合いながらも一応それっぽいのは見えていた。が、いくらリョーマの動体視力が優れていようと互いの手の中すっぽり包まれた小さなボールに書かれた全文を読み取るのは不可能だった。
「え〜っと・・・、<誕生日プレゼントは―――>・・・・・・」
そこで、リョーマの声が止まる。
「ん? どーした越前?
―――うげっ!!」
覗きこんだ桃もまた、硬直した。その様に、残る一同もおおむねを察する。
凍り付く時の中、パサつく空気を鼻から喉へと流し込むこと暫し。
「ざけんな」
パコ―――ン!
「痛っ・・・!」
打たれた球は見事不二の頭へと返っていった。
「帰る」
「ってオイオイ越前ちょっと待てよ!!」
「ま、まあ不二のこの位のフザケならいつものことだろ?」
「本気でやっている可能性が100%だが」
「余計なことは言うな乾!」
テニスバッグを肩にかけ踵を返すリョーマを全力で止める(?)一同。ここでリョーマを帰してしまえば不二の機嫌急降下は目に明らか。
そう、思ったのだが―――
どうやら予防策は本人自ら敷いていたらしい。
「ところでリョーマ君、ちゃんとメッセージ読んだ?」
「はあ? アンタのフザケた文ならね」
「そう? なら―――
―――<OKなら打ち返してねvv>ってその下に書いておいたんだけど、もちろんそれも読んだよね?」
「ぐ・・・・・・!!」
にっこりにこにこ
「恐るべし不二・・・・・・」
「策士だ、この人・・・・・・」
よって、不二とリョーマの試合は半ば詐欺的手法により強引に決定されたのだった・・・・・・。
―――vsリョーマ戦