§1 『愛情』のカタチ
跡部・佐伯2【2日目・不動峰にてついに再会】
胸元の陣が光りだす。
「―――と」
「ご主人様のお呼び出し?」
茶化す千石に、佐伯は軽く頷いた。持つべき物を全て持ち。
「呼ばれてすぐ行かないと使用人としての質疑われるし、さっさと行って来るか」
「いや多分とっくに疑われてるっていうかそもそも信用されてないと思うよ・・・・・・」
そんなボヤきは無視し、
「じゃあ周ちゃん、由美子さん、行ってきます」
「行ってらっしゃいサエ」
「帰って来てね、2人で」
「そりゃもちろん。とりあえずアイツには先に行こうとした事についてしこたま怒っとかないといけないですからね」
「しこたま、って・・・・・・」
これまた千石がボヤく。
ボヤいて・・・
「サエくん、よろしくね」
小さく呟いた。
何についてかは言わない。
佐伯もそれは尋ねず、
「・・・・・・。ああ」
短くそれだけを返した。
佐伯の姿が、消え―――
ψ ψ ψ ψ ψ
「今度こそ終わりだ跡部!!」
言葉に従うよう、殺意と殺傷能力を帯びたツルがこちらを貫く勢いで迫る。
それを見ることもなく、
「さあ、どうだかな」
跡部は薄く笑った。
感じる。転送陣は繋がった。
迫るツルが―――
体に届く寸前で、断ち切られる。
「何・・・!?」
突如千切れたツルを前に、一瞬遅れる反応。その間に光を纏い現れたものは姿を露にし、
「よっ、景吾。7日ぶり」
剣を手に、最も馴染み深いうさんくささ満点の爽やか笑みでそう言ってのけた。