青学・氷帝・六角。3つの国が作り出す3角形の中心には、1つの街がある。
大きさはさほどでもないが、古くよりあり、3つの国を行き来する者達の休憩点として発展してきた中継都市が。
この度、その街が国として独立した。
§2 陰謀の裏に隠された陰謀
長い長いプロローグ @―――由美子
〜さて、話は新しい国が誕生したところから始まるの。〜
「ああ、ルドルフ王国だろ? その話だったらとっくに知ってる」
「で、本題はここからなの。そのルドルフ王国の人が、近々青学に挨拶に来るのよね」
「そりゃ来るだろーな。まずは近隣諸国との親交築かなけりゃ国としてやってけねえだろ。特にちっちぇえ国なら」
「だとしたらまず氷帝来るべきだろうな。こういう好戦的なヤツがいるトコだし」
「うっせーぞ外野。んで?」
「私挨拶に帰るべきかしら?」
「何でだよ? 由美子はもう氷帝国民扱いだろ?」
「それでも一応興味本位で」
「・・・やっぱそういう理由か。言っとくがお前が青学いると却って向こうに怪しまれんぞ? 『なんで氷帝のヤツがここにいんのか』って」
「あらそれは困ったわねえ。せっかくの親交いきなり崩しても仕方ないものね」
「・・・・・・。つーか、実はお前帰る気端からなかったろ?」
「来たばかりだもの。面倒だわ」
「ああ、じゃあ姉さん大丈夫だよ。僕が帰るから」
「周助が?」
「だって見てみたいもの」
「てめぇかよ『興味本位』は・・・・・・」
「じゃあ周助、任せたわね」
「うん!」
「周ちゃん、行った時は相手に失礼のないようにね。でもって手土産は忘れないでね。土産はもちろん氷帝名物コニの葉を―――」
「勧めんなンな危険物品!!」
「わかってるよサエ」
「てめぇもあっさり頷くんじゃねえ!!」
「やだなあ跡部。失礼の話だよ。コニの葉なんて持って行くワケないだろ?」
「本気にしちゃって。馬鹿だなあ景吾は」
「うお・・・。何だかマジでムカつく馬鹿にされ方だな・・・・・・」
「―――あ、ちょっと待って」
「え・・・?」
「何? 姉さん」
「それならいっそ―――」
そんなわけで、1人だけ氷帝から青学へと旅立った。
「・・・・・・・・・・・・。これでいいのか不二家・・・?」
そんな跡部の疑問を残したままで。
ψ ψ ψ ψ ψ
そして・・・・・・
今回の事態は、これが原因となって巻き起こった。ルドルフ王国による―――青学王国乗っ取り事件は。