§2 陰謀の裏に隠された陰謀





  だらだら続く承 はいラスト―――リョーマ
    〜続・佐伯さんの・・・・・・ってもーいいよ。周助どこ〜?〜

 「ふう! ようやく部屋へ戻るようですねえ!!」
 「何かすっげー苛ついてんな観月」
 「苛つきますよ当たり前でしょう!? 
28分も延々と何をやっているんですかあの2人は!!」
 「
30分の大台まで2分足りねえって事か」
 「何を真剣な顔で言っているんですか赤澤!! そんな事はどうでもいいんですよ!!
  次行きますよ! 次は2人の寝室です!!」
 「ああ? 由美子の部屋はお前の術じゃ見えねえって言ってなかったか?」
 「んぐ・・・・・・。
  確かに、さすが青学一の魔法使い。そうそう易々と全てをさらしてはくれませんでした。
  ――――――が!」
 「『が』?」
 「あそこは由美子嬢の部屋。恐らく結婚前からずっと使っていた部屋でしょう」
 「だから?」
 「馬鹿ですねえ君は。
  それだけ幼い頃からいたんですよ? となると当然仕様は1人部屋でしょうねえ。由美子嬢が淫乱だというデータもありませんし、家に男を連れ込むとなればそれこそ騒ぎになりますから。
  そんな部屋に、身内とはいえ賓客を泊める理由がどこにあります?
  さらに端的に言いましょう。
  ―――この広い屋敷の中で、2人が狭苦しいシングルベッドないしは床で寝る理由がどこにありますか?」
 「あ・・・、ああ・・・・・・」
 「普通はないでしょう。2人がこの家の者に嫌われてでもいない限りは。見ていてもそんな様子はありません。
  断言しましょう。2人は客間に通されます。そこなら覗き放題です」
 「けど、由美子は部屋で跡部は客間かもよ?」
 「夫婦が? 寝室を別にするんですか?」
 「ほら、妻の実家となりゃやっぱ大人しくしてようかとか・・・」
 「本人らがいくらそう思っても―――思っている様子は欠片もありませんでしたが―――、周りは一緒にするでしょうね。まだ結婚後さして間がないとなれば尚更です」
 「もしくはそこもやっぱ妨害されてるかもよ?」
 「今まで回ってきた限りでは、そんな仕掛けがなされているのは由美子嬢の部屋だけでした。
  今夜泊まるからといって新しく仕掛けたのでは〜―――
  ――――――それこそ自分たちは怪しいとアピールしているようなものでしょう?」
 「・・・言われりゃ確かにな」
 「では次からは言われる前に気付いて下さい」
 「うぐ・・・」
 「さあ〜って徹夜で見張りますよ〜。
  今度こそ尻尾を出しなさい2人とも。そしてそれを私達が国王にチクる! そうすれば彼らの信用度はがた落ちです!
  ど〜です〜? 食い止めるために来た筈の自分たちのおかげで、事態が先に進んでしまうというのは!? 悔しいでしょう!? やるせないでしょう!?
  弟ともども絶望のどん底で後悔の念に苛まれればいいくひひゃはらひえわはえほげほっ!!!」
 「・・・・・・あーあ。し慣れねえ高笑いなんぞするから。
  大丈夫かー観月?」
 「うるさい!! そうと決まったらさっさとやりますよ!!」
 「はいはい」





 ―――ちなみに彼らはこんな宣言後、1時間
17分で見張りを打ち切った。交互に風呂に入った2人が部屋に揃ってから、僅か9分後の事である。
 「・・・・・・・・・・・・っあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!
  絶対あの2人僕達が見張ってる事に気付いてますよ!? そして見せ付けて陰で笑ってるんですよ!! 『羨ましかったらてめぇもさっさと彼女見つけろよ』って!!!」
 「いや・・・。さすがにそりゃ被害妄想じゃ・・・。
  ってかだから言ったじゃねえか。これ以上見てたらヤベえって」
 「キーーーーー!!! こうなったら絶対僕も彼女見つけて―――じゃないあの2人の弱点とか欠点とかやましいところとかとにかくバラされて恥ずかしい事見つけ出してやりますよ!!!!」
 「『キー』って・・・・・・。
  はいはいわかったもうわかったから。頑張るお前の気持ちはよく伝わった。
  だから、な? 観月。
  明日からまた頑張ろうぜ? お前も疲れてるだろうし。
  あの2人だって、今日これ以上見てたって何もやりゃしねえよ」
 「ううう・・・。くそー・・・。僕は負けませんよおおおおおお・・・・・・・・・・・・」
 「わかった。わかったから落ち着いてくれって・・・・・・」





ψ     ψ     ψ     ψ     ψ






 風呂も終え、跡部も‘由美子’も薄いバスローブ姿で部屋に戻ってきて。
 2人は今、最大の試練にぶつかっている。
 「おらよ」
 《・・・・・・で?》
 湯冷め様に用意されていた薄いレモン水を渡しながら、跡部は心の中で佐伯に問い掛けた。
 《どーすんだこれから?》
 ちらりと視線を動かす。2人用に親切に用意された、キングサイズのダブルベッドへと。
 「ありがとう」
 ‘由美子’という形を取り、佐伯が笑った。行為を求める獰猛なものではなく、やはりからかいを含んで。
 《どうするも何も、ヤるしかないだろ? ギャラリーもいる事だし。
  ―――あ、視姦されてるっぽいのが嫌なのか?》
 《なんでそうなる!?
  俺は!! その・・・! この・・・・・・》
 跡部の声(?)が小さくなっていった。
 まあ、いつもされている立場なのに逆に出来るかなど、跡部では口が裂けても言えないだろう。が、途中までならともかく実際事を進めるとなれば、そりゃあやるのは‘由美子’ではなく跡部だろう。余程特殊なケースででもない限り、男と女としてはそれが普通の関係だ。では今回はどうするのか。
 仄かに赤い顔で俯く跡部からグラスを取り上げ、
 《ま、とりあえずやってみようぜ?》
 ‘由美子’はベッドへと跡部を引っ張り込んだ。
 「いらっしゃいよ景吾君。夜は誰が思うよりも短いんですもの」
 「っつ・・・!」
 跡部も引かれるまま倒れ込み、しかしながら‘由美子’を踏まないように手と膝を突っ張り四つん這いになり・・・
 ―――結果、まるで‘由美子’を押し倒したような格好になった。
 「・・・・・・」
 「・・・・・・・・・・・・」
 仰向けでじっと見上げられ、跡部の顔が徐々に赤らんでいく。
 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜////!!!」
 どうしようもない程に真っ赤になる跡部。逆に全く動揺しない‘由美子’にシーツまでかけられて、
 《・・・・・・このままヤれ、ってか?》
 《頑張れ景吾vv》
 《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  ―――クソッ!!》
 心の中で吐き捨て、ようやく跡部が動き出した。
 顔を落とし、キスをする。合間にローブの襟を開き中に手を滑らせ。
 「あ・・・ん・・・・・・」
 キャラが『由美子』なので、佐伯は常にない程声を上げ感じてみせた。
 部屋には甘ったるい声が広がり、この腕の中では知らないヤツが気持ち良さそうに喘いでいる。
 (知らない・・・。知ってる・・・。だが知らねえ・・・・・・)
 またも頭をもたげる妙な感覚。今ここにいるのは佐伯だ。言い聞かせても拭えない。いつもとやっている事が違うからこそ余計に。
 いつもやられて喘ぐのは自分だ。佐伯のそんな姿は見た事がない。あるいはあるのかもしれないが、じっくり見る余裕などとてもない状態だ。
 もしもこれが佐伯当人だったらどうなのだろうか。同じように、瞳を閉じ低く艶のある声を上げるのか。それともいつもの自分のように懸命に堪えるのか。
 いずれにせよ想像がつかない。だから今見下ろしているこの姿が本当なのか嘘なのかもわからない。
 ―――佐伯なのか、そうでないのかも。
 わからない。わからないのなら。



 ・・・・・・なぜ自分はそれでも興奮しているんだろう。



 ぱたりと、動きが止まった。それ以上動けなかった。
 「景吾君?」
 と問われる声もやはり違う。
 違う―――のに頬を撫でられ反応してしまう。
 朧げに笑い、跡部は跨いだ‘由美子’の脚の間に座り込んだ。
 目を閉じる。‘由美子’は見えなくなった。佐伯は初めから見えない。
 今ここにいるのは誰なんだろう。
 それは自分に関係あるのだろうか
 佐伯だから自分は様々な事をやらせている。許している。そう、考えていた。
 ―――今のこれは何なのだろう?
 (インランだな、これじゃ)
 小さな唇の動きを読んだのか、それとも知らない内に口に出してしまっていたのか。あるいはやはりこれが佐伯だからか。
 正確にこちらの心情を察したらしい。‘由美子’に再び引きずり倒された。今度は片手で襟を掴まれて。
 「―――っ!!」
 不意を突かれた分も含め動揺が大きくなる。完全に逆向きにされ、詰まった息を無理やり吐き見上げてみれば、



 ――――――そこにいたのは、『由美子』ではなかった。



 「ぁ・・・・・・」
 喉の奥から声が洩れた。恐れではない。歓喜で。
 見つめられる。嫉妬にたぎった瞳で。
 『由美子』なら絶対しないだろう瞳。だが知っている。間違いない。これは佐伯の瞳だ。
 そして聞こえる。佐伯の声。伝話ではない。耳に届く、ぎりぎりまで落とされた声。
 低く甘く、底冷えのする熱い声で、
 問われる。






 「ならお前は一体、俺以外の誰相手ならそんな様になれるんだ?」






 「は―――!」
 閉じ込められた腕の中で、跡部の躰がびくりと跳ね上がった。何もされてはいない。ただ見つめられ、言葉を投げかけられただけだ。だがそれで充分だった。
 全ての悩みがくだらなく思う。何を自分は迷っていたのだろう。
 ここにいるのは佐伯だ。だからその目に、声に、全てに酔うのだ。
 ただ姿が違うだけで、なぜこんな事すらわからなくなっていたのだろう・・・・・・?
 「そうだな・・・・・・」
 呟く。元に戻った‘由美子’を再び組敷き。
 跡部は、誰もが見惚れる極上の笑みを、たった1人―――己の想い人だけに向けた。
 「ったく・・・。







  この俺様をここまで惚れさせるなんざ、てめぇだけだよ」






 佐伯・・・・・・。
 最後の言葉は直接贈る。
 口に飲み込み、‘由美子’―――いや佐伯もまた、それはそれは綺麗に微笑んだ。





ψ     ψ     ψ     ψ     ψ






 いちゃいちゃと甘ったるい空気のまま行為へ・・・進んだ?
 「ん・・・、はあ・・・・・・」
 《なあ、やっぱこの体勢無理じゃねえ・・・?》
 「あ・・・・・・。あん・・・・・・」
 《大丈夫大丈夫。何とかなるって。ククッ・・・》
 《言ってる事から既に無茶苦茶じゃねーか!! 笑ってんじゃねえ!!》
 《だ、って・・・!! 頑張るお前が可笑しすぎる!!
  ヤバい・・・!! 笑って腹痛い・・・! というか萎える・・・・・・》
 《うっせえ//!! だったら体勢変えんぞ!!》
 《あダメだって!! オーソドックスなのはお前が上だろ!? お前どこまで由美子さん積極的な人にさせるつもりだよ?》
 《公共の場であそこまで積極的だったんならもーいいだろ!? 旦那に馬乗りする妻で!!》
 《いやいろいろ夢壊れるしさあ・・・》
 《だったら俺がてめぇに突っ込む!! それならどっからも文句来ねえじゃねえか!!》
 《お前があ?》
 《あ゙あ゙? 何だよてめぇ。普段は散々自分がやっといて、俺がやるのは嫌だとかホザくんじゃねえだろーなあ》
 《それは別に言わないけど〜・・・・・・っていうかその方が嬉しいし(ぼそぼそ)》
 《何か―――》
 《いや何でもない。
  けど―――
  ――――――――――――出来んのか?》
 《・・・・・・ああ?》
 《だから、出来るのか? 初体験。
  一応そろそろ新婚の域も脱する頃だし、ここで出来ないと、お前は一生『ヘタクソな人』として認識されるだろうけど、まあそれで構わないんだったら・・・。
  あ、俺もちゃんと協力するぞ? お前がどんなにヘタでも感じてるっぽく声は上げるし―――》
 《もーいい!! このまんま行きゃあいいんだろ!?
  ・・・クソッ! これで明日足腰立たねえとかいう事になったらどーすんだああ・・・?》
 《どっちにせよ『情けない人』と》
 《・・・・・・・・・・・・。
  やっぱ今日は止めるか》
 《ギャラリーに悪いだろ》
 《俺は俺を優先させてえ・・・》
 《なら尚更な。溜めっ放しも体に悪いだろ。ストレスも溜まるし》
 《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  クソ・・・・・・》
 《ん?》
 《わかってんだったらさっさとやりやがれ!!》
 《はいはい。
  んじゃ景吾、腰落として〜》
 《―――っ!!》





ψ     ψ     ψ     ψ     ψ






 とりあえず1度終え、ぐったりとした跡部を佐伯が抱きとめた。もう立体映像という変装は解いている。ギャラリーがいないのならばするだけ無駄だ。
 佐伯の躰に半ばのしかかり、腕枕に頭を乗せ。
 跡部は天井を睨め上げた。剣呑かつ妖艶な流し目。そこにいる人を様々な意味で確実に射止める眼差しだ。向けられない佐伯が無言でちっとかやっている。
 「よーやっといなくなりやがったか、悪趣味ヤローが」
 「わかっててヤりまくった俺らの方が遥かに悪趣味だと思うけどね」
 軽く笑い、
 佐伯は心の中で手を合わせた。不幸にも通りかかってしまい、終わるまで身動きの取れなくなった可哀想な弟へと。
 (ごめん周ちゃん。悪気はなかったんだ・・・)
 実はルドルフ一行は早々とこちらの覗き見を止めてしまったらしい。そしてそれからすぐに来たのが、現在陰で動いている不二だった。
 多分普段の状態なら跡部も気付いただろう。気配の違い―――術を使ったものと直視という違いに。
 だが盛り上がり途中だった跡部は気付かなかった。気付かないからこそ、煽られ興奮気味だった分も含め積極的に来てくれた。
 そして・・・
 ・・・なのでせっかくの機会、途中で水を差すのも何なので、佐伯も何も指摘はしなかった。
 きっと今大変な状態だろう彼を思うと胸が痛まないでもなかったが。
 (ま、まさか俺が解消させてあげるワケにもいかないしな。
  ―――それに)
 笑みの種類を変え、横目で跡部を見やる。いつもと違う体勢・状況で頑張ったため疲れてはいるようだが、まだまだとても満足はしていないようだ。
 (結構結構。俺も全然足りないしね)
 するりと腕を抜き、佐伯はうつ伏せる跡部の上に覆い被さった。
 「あん?」
 耳元に、囁く。
 「今日は景吾も頑張ったから特別サービス。
  いる?」
 からかい声で問う佐伯の首に、腕が回された。
 肩だけ上げた跡部が、腕一本で躰を反転させる。突っ張っていなければ佐伯の躰が倒れていただろう。
 かろうじて堪えた佐伯の下で、跡部はやはり笑っていた。先ほどとは違う挑発的な笑み。だが人を魅了する事に変わりはない。
 唯一の相手に向け、
 最短で告げる。
 「おう」





ψ     ψ     ψ     ψ     ψ






 ちなみにそんな佐伯も気付かなかった。上は上で行われていた修羅場を。
 (わっ。わっ。わっ。
  もー跡部もサエも―――って見た目由美子姉さんだけど―――そんないろいろやんないでよ〜・・・!!)
 真っ赤な顔で、両目を覆う手の隙間から覗き見るという、佐伯の教育の賜物たる極めて基本的な事をやっていた不二。普段遊びなどしない―――しない理由ももちろん佐伯の箱入り教育によりだ―――おかげで耐性のほとんどない身には毒極まりないものを見せ付けられ、予想されるがまま大変な状態になっていた。
 そして、
 さらに大変な状況に置かれるはめになった。
 ―――しゅーすけぇ〜・・・。どこ〜・・・・・・?
 (リョーマ君?)
 洞窟のような通路を、聞き覚えのある声が抜けていった。壁は全て厚いため、相当大声でない限り各部屋へと洩れる事はない。今のように、一部石を外して向こうの様子を盗み見していない限り。
 (ちょ、ちょっと待ってちょっと待って!! 今は駄目だよ絶対!!)
 慌ててしかし向こうには聞こえないように静かに石を戻し、不二は急いでそこから移動した。こんな状態を、絶対リョーマに見られたくはない。





 「周助ぇ〜?」
 奇跡的に迷わずやって来れたリョーマ。普段から方向オンチな分、こういう所では強いのだろうか?
 しかしながら、残念ながら間に合わなかった。
 「あれ・・・? 何かいたっぽいんだけどな・・・・・・」
 鼻を鳴らし見回す。もちろんリョーマは人間なので、そんな事で不二の行き先はわからなかった。
 「あーあ。周助どこ行ったんだか」
 鼻で吸った息を口から吐き出し座り込む。下から僅かに洩れ出る明かりを頼りに見回してみても、本人はおろか通った跡すらよくわからない。多分2人であちこちうろついているためだろう、溜まった埃はぐちゃぐちゃに荒らされていた。
 「・・・・・・って、明かり?」
 ずっと通路は真っ暗だ。時折鏡だの壁細工の隙間だの上からは灯り下げ穴だのから光が洩れるが、そこのものは何だか他のものと違うように見える。
 這いつくばって近寄る。今まで綺麗に並べられていた石床パズルは、そこだけかなり適当だった。
 「ビンゴ」
 まさかずっとこのままだったのではないだろう。これでは下からも丸見えだ。
 「にしても周助がこんなミスねえ・・・」
 珍しい事だ。ちょっとムッとする。
 「周助、そんなに俺には会いたくないってワケ・・・?」
 声をかけたから慌てて逃げたのかもしれない。あるいは・・・・・・
 もう少し石を外し、開いた穴から覗き見る。もしかしたら何か大変なものが見えたのかもしれない。
 「例えば裕太に何かあったとか・・・ああ、裕太はさっき会ったか。
  由美子さんに? ・・・何かあるワケないし。
  そういや今何か問題あるとか言ってなかったっけ。えっと確か〜・・・・・・」
 考えながら、じっと覗き見て・・・・・・
 「・・・・・・いやこーいう大変さじゃなくってさあ」
 リョーマはがっくりと崩れ落ちた。
 下では先ほど不二が見たもの以上の事が起こっていた。ついでにもうシーツは面倒になったらしい。全てが赤裸々に明かされている。
 「まあ、確かに周助には大変そうだったね・・・・・・」
 こんな光景は、純情ウブな不二にはさぞかし目の毒だっただろう。
 だが・・・・・・。
 逆に変態親父のおかげで慣れているリョーマは、慌てふためく事もなく再び見下ろした。もちろんやっている事はさして変化なし。
 そしてようやっと思い出した。そういえば青学がルドルフに乗っ取られようとしているとか何とか。
 思い出した上で見下ろし、
 リョーマは首を傾げた。



 「・・・・・・・・・・・・。
  この人たち、本気で何しに来たワケ?」



 

何が変わったのか転 Eins








 ―――以上、本当にだらだら続いた承でした。
 1はリョーマの登場。「・・・・・・バカにされた?」という返答、気分はとある動物雑誌の
CMで出てくる主役の猫の台詞「舐められてる俺?」です。CGでリアルに作られて、さらに2足歩行して服も来た動物たちがエリザベスカラー(薬を塗った動物が、そこを舐めないように首につけられるもの。エリマキトカゲみたいになります)について話しているのですよ。すっごい笑えます。流行のファッションだの宇宙人との交信だの散々言われ「ンなワケねーだろ!?」と律儀に突っ込み、必死に説明すれば「エリ・ザ・ベス!」と子どもの動物に踊られ(この言い方がとても面白いので姉のお気に入りです)、最後の「舐められてる俺?」ではずっと聞いていた動物に「うん。舐められてる」と即答されて。物悲しさの嵐に包まれ思わず何のCMだったか見忘れるほどです。10回くらい観てようやく雑誌だったと理解しました。
 あまりに可哀想なのでリョーマへのツッコミは誰もしていません。多分‘由美子’がいたらやっていたでしょう。跡部が初対面でなければやはりやっていたでしょう。・・・・・・可哀想?
 2は問題多すぎの佐伯母。話の中で入れ損ねましたが、青学を出たサエが最初に六角―――あえて王のいない国に行ったのは、親にいろいろ話を聞いていたからです。少しでも知っている所から行こうという考えもあり、そんなツテもあり、そして何よりこの両親を作り上げた国はどんなものかという疑問を解きに(笑)! 
 ちなみにそんな彼女が凶器として使用していた桶。氷帝では金属のバケツでした(§0 潜入〜より)。工業国である氷帝の方が原料も多く加工技術もあり、青学では出来た物に細工はするけど明らかに実用一点張りの物をあえて作る事はさしてないため木製です。自然豊かなためこちらの原料には事欠きませんから。
 さらに3、それに5。3で食べていたトリエスル、もちろんグズリの実同様架空の果物ですが、モデルはグミです(もちろん果物の方の)。見た目はさくらんぼのミニチュア版のようなものです。ただしヘタに種をつけたまま食べるのはやたらと簡単ですが。
 ではなくて。
 この話(といいますか§2)、今までと違う点が2つあります。1つ、相手国(今回はルドルフですな)が動いた理由が明確である事。そして2つ――――――サエと跡部が話中ずっといちゃいちゃしてる!!
 ・・・そう。意外な事に今までなかったんですよ。§0では不二の乱入でギスギスになり、§1では跡部が捕らえられそもそも一緒にすらいなかった。そんなこんなで話全体にピンクのオーラが発せられてます。バカップル警報です後書きでしたところで意味ないですが!!
 §2タイトルの『陰謀』の1つがコレです。なのでこれからもそんな暑苦しい2人が出続けます。皆様、頑張って下さい! なお途中サエの言っていた『やられたら嬉しい』発言は、別に跡虎推奨という事ではありません。多分次の『転』で出てきます。
 ・・・しっかし、2日サエに何もされなかったからと欲求不満な跡部。アンタら一体どんだけ日々ヤりまくってんだ・・・?
 そして4。最初は木更津さんと接触させようと思いつつ、今回リョーマにしてみました。やっぱりルドルフ編といえば裕太とリョーマの絡みがないとv さらに次にインターミッションとして不二とリョーマの話を入れれば完璧ですか!? ってもーサエも跡部も関係ないじゃん!!

2006.7.29.6