Unhappy Life
Target2.六角一同
次の日。学校のある平日。
「はあ? 学校ついて来る?」
「当たり前でしょ?」
「そうかお前寂しがり屋さんだったのか」
「違う!!」
「だって1人はイヤなんだろ?」
「どういう解釈の成果それは!? どこへでもついて行ってお前を不幸にするんだからね!!」
「ああ、そういえばそんなやりとりも遠い昔に・・・」
「12時間前の会話だ!!」
「それはともかく困ったな。いくら何でもぱたぱた飛んでついてこられると目立つ。飛行ロボットだとか言おうにもそのリアル過ぎる動きは現在の工学じゃ無理だし、そのまま悪魔だって言ってもいいけど周ちゃんとそっくりだと信憑性が高すぎて冗談にならない。挙句それと平然と話すと俺まで周りに引かれる。
という事だから、ついてくるんだったらぬいぐるみ、って事でいいか?」
「うんいいよv」
にっこり笑い快諾するシューゴ。この快諾こそが既に不幸の始まりだ。
(ふふふ・・・。いい年こいてぬいぐるみ片手に登校する男子。周りからの視線はさぞかし痛いだろうね。これで変態決定だ・・・・・・)
が・・・・・・。
@ @ @ @ @
本当にシューゴ片手に学校へ行った佐伯。本日は部活の朝練もないため、登校は他の生徒と一緒になった。
ざわっ・・・・・・
佐伯の周りが静まり返った。煩い沈黙の波が周りに広がっていき、それと共に彼の周りから人が引いていき・・・・・・
『サエ君可愛いvvvvvv』
・・・・・・次いで押し寄せてきた。
「え〜何々あのぬいぐるみvv」
「サエ君に似合いすぎvv」
「きゃ〜vv カッコかわいい〜〜〜vvvvvv」
「サエ君サイコー!!」
目をきらきら輝かせカメラ付き携帯を向けてくる男女。中には感涙むせび泣く者から耐え切れず鼻血を噴く者まで現れた。
≪・・・・・・何? この反応≫
設定『ぬいぐるみ』のため可愛らしく笑顔を振り撒きながら、シューゴは精神感応にて佐伯に話し掛けた。なお悪魔というのは元々人の心に語りかけるものであるため、実力はピンキリながらこのような能力を持っている。ただし、
≪ま、普段の行いの勝利、ってトコだな≫
・・・それをそっくりそのまま返してくる人間は初めてだった。
お互いにかければ当たり前の話で会話になる。『上級悪魔と互角の力を持つ人間』という、本来なら注目すべき事態は利便性にあっさり負けた。
≪普段の行い・・・・・・?≫
≪ホラ、『爽やか好青年』はぬいぐるみの1つや2つ持っていたところで軽く受け入れられる、っていう・・・な≫
≪ヤな受け入れられ方だね。っていうかいくら『爽やか好青年』だろうが見た目が良くなかったら絶対受け入れられなかっただろうね。おめでとう、受け入れられやすい見た目で≫
≪はっはっはっはっはっはっは。
―――ところでお前尻尾もちゃんとくっついてんのか?≫
≪? くっついてるよ?≫
≪じゃあそれを持って鞄風に振り回しても可、と≫
「ぎゃああああああ!!!!!!」
いきなり叫びだしたシューゴに、周りは彼の計画通り引いていった。
「・・・・・・って、僕が?」
「おめでとうぬいぐるみ。前置き0で叫ぶぬいぐるみなんてそりゃ周りもさぞかし引くだろうな。恐怖物件として」
「うわすっごい屈辱・・・・・・!」
「何でだ? 元々そういうの狙いじゃなかったのか?」
「そういう何かヤバそうなモン見る目つきで引かれたいんじゃない!! 何かこう!! もっと普通な感じで恐れられたいんだ!!」
「いやお前は無理だろそれこそ『見た目の問題』で」
「それは言うなあ!! 僕だってもっと怖い見た目になりたいんだ!! てゆーかもっと怖い見た目なんだ!! なのにこっちの世界来た時召喚者が変態ロリ野郎だったおかげでこういう見た目になったんだ!!」
「は〜。お前も何気に悲惨な人生送ってんだな」
「わかってくれた!?」
「ああわかった。よくわかった。
―――そんな感じでこのぬいぐるみは殺伐とした人生にストレスが溜まって錯乱してるから、それの解消用につれてきたんだ。みんな優しくしてあげてくれないかな?」
「何をどう理解した!?」
『は〜い』
そして、シューゴは学校にいる間お菓子やジュースをいっぱいもらい、みんなに可愛がられたのだった。
―――Target3.黒羽
ぬいぐるみを持って平然と外を歩けるサエ。想像するだけでカワイイ〜〜〜〜〜vvv ・・・ので絵になりました。まあ・・・多分皆様のご想像の中の方が何百倍もかわいいでしょうが。
そしてシューゴの召喚主である変態ロリ野郎。さって誰だろう? というか誰にしよう。候補は3人。誰にしても展開は変わらないがオチは変わりそうだ。
では次は学校の友人兼部活仲間にして、サエの知り合いとしては最もまともなラインを保っている六角の方々を・・・・・・。
2005.4.30