Unhappy Life
Target3.黒羽
「よおサエ――――――・・・・・・」
軽く手を上げいつもどおり挨拶をしかけ、
黒羽はそのまま固まった。『ぬいぐるみ』を手にこちらも軽く手を上げ挨拶する佐伯(むしろ普通逆に捉えるべきなのか・・・?)に。
上げた手で、頭を抱える。
「噂にゃ聞いてたが・・・・・・やっぱこれが現実か」
「? どうしたバネさん?」
「いや・・・・・・。お前だから何でもありだってわかってはいたがそれでも一応万が一以下の確率で、お前に『世間一般の常識』ってモンを夢見ちまった俺が馬鹿だった。ああわかってんだ。世の中神も仏も存在しないなんて事は」
「代わりに悪魔ならいるけど?」
「は?」
さらっと言い切られた何か。胸に抱えたぬいぐるみの手を「はい」と挙げ、佐伯はそんな事を言い出した。
じっと見る。つぶらな瞳。もらったらしいペロペロキャンディーを舐めるその姿。
見て・・・
「いやコイツはむしろ魔王だろ」
「誰がだ!!」
ビシバシビシィ―――ッ!!!
咆哮と共に、部室の壁にヒビが入りガラスが砕け散った。
「うおっ!!??」
驚く黒羽にびしりと指を突きつける・・・・・・・・・・・・佐伯。
「たとえコイツはどうであろうと周ちゃんは可愛い弟であって決して魔王なんかじゃないからな!!!」
「・・・・・・何でお前の方が過剰反応するのさ」
「つーか佐伯・・・。今コレやったのソイツか? それともお前か?」
一応尋ねる。自分と一緒に放り出された悪魔氏がビビっているところからすると答えは1つだろう。
「ははっ。何言ってんだよバネさん。俺がそんな事出来るワケないだろ?」
「説得力0」
「これは突発的な事故であって誰の責任でもないから即ち誰も弁償する必要はない、と」
「ああわかった。部費で修理しとくぜ・・・・・・」
これ以上の問題の掘り下げは危険だろう。察し、そう結論付ける黒羽へと、
佐伯が手を差し伸べた。
「じゃあ俺が修理しとくから修理金を―――」
「全部後払いだし人件費はつけねーからな!!」
「・・・・・・残念」
佐伯を不幸にするのが使命な悪魔のシューゴ。彼の関与無しに、とりあえず佐伯は1つ不幸になったのだった。
―――Target4.跡部
あくまで不二は可愛いっぽいです。その割にこの悪魔の正体がわからない時点でとんでもない事散々やってたような気もしますが彼・・・・・・。
そしてヲトメサエの相手に来ましたバネさん! 今回漢っぽい方に登場ですが、だからでしょうか、サエよりさりげに強いのは。
2005.4.30