4.斬り込み隊員 −リョーマとケビン−


 「で、4人になった。必要なのも大体集まったし、そろそろ行くか」
 「あ、ちょっと待ってくれよ」
 佐伯の提案に、待ったを掛けたのはリョーガだった。「ん?」と首を傾げる3人に指を立て、
 「俺が斬り込み『隊長』っつー事は、やっぱ『隊員』も必要じゃねえ?」
 「斬り込み隊長は別名『自爆隊』だからいらないだろ」
 「うあ・・・。何か今すっげー切り捨て案が・・・・・・!!」
 「つーかそりゃ、『斬り込み隊長』じゃなくて『切り捨て隊長』じゃねーのか?」
 「もちろんそのノリで」
 「わ〜・・・。サエくんあっぱれ〜。
  ・・・・・・俺らなんでこんなトコ入っちゃったんだろ・・・・・・」
 「それは言うな千石・・・」
 「俺は騙されてだからな・・・・・・」
 ため息の三重合唱。しかしここで終わらせると反対意見0と見なされるため、気を取り直してリョーガが言葉を続けた。挫けた指を再び立て、
 「つーワケで、隊員を入れようと思うんだけどよ」
 「そりゃいいが・・・・・・いんのか? ンな都合よく」
 「う〜ん。リョーガくんがいればいっか、って考えてたからなあ。他にそこまで見込みありそうな人ここらにいないっしょ」
 「やっぱここはお前が1人で突撃かけて―――」
 「丁度いいヤツらいるから連れて来るぜ。俺に比べりゃ腕はまだまだだが、斬り込み隊としては十分使えるぜ。それに俺が誘えばそいつら断らねえしな
 佐伯の言葉は無視して具体案を出す。ついでに彼らと接した時間はごく僅かだが、それでも察したのがこのご一行様の特性。『いかに自分らに都合よく仲間集めをするか』がテーマらしい。あるいは『いかに自分が優位に立てる関係を築けるか』。
 そんなこんなで、自分より『下』を作り出すため、リョーガはさっそくイケニエ―――もとい仲間集めにいそしんだ。





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 「なーチビ助ケビン。いー話あんだけどよ、お前ら乗んない?」
 『乗んない』
 「そー言うなって。人助けだぜ? しかも助けるのがお姫様ときてやがる。助けりゃ一躍英雄扱い。逆玉も夢じゃねーよ」
 「ホントか!?」
 「俺興味ない」
 「あーそっか〜。やっぱチビ助にゃこーいう話はまだまだ早ええってか。だよな〜。んじゃ、ママのおっぱいでも吸いながら俺らの帰り待っててくれよ」
 「ちょっと待てよリョーガ!」





 ―――こうして、交渉開始
20秒で2人は仲間になってくれた。



―――5.英二