C.変なヤツが良識人だった(見た目と中身の善悪度が反比例)。
ガサッ・・・と草を掻き分け、現れた!!
「だから前回の反省をして下さい!!」
・・・途端またしても即座に攻撃しようとした佐伯を、後ろから羽交い絞めにして少女が止める。おかげで無事それらは登場を終えた。
それをしっかり見届け、
千石は人差し指を立てた。
「という事で―――」
「完にしない!! 登場して終わる話って何なんですか!?」
「そんな話もまた斬新」
「古典的でいいですので解決して下さいお願いしますから・・・!!!」
血反吐を吐く勢いでお願いされ、千石の胸にきゅんと痛みが走り・・・・・・
「じゃあわかったよ!! 古典的に進めて解決させるから終わった暁にはぜひ君からサービスよろしくねv」
「え・・・? あ、あの・・・・・・」
「んじゃ俺頑張っちゃうぞ〜☆」
「待っ・・・!!」
千石清純。職業:商人。趣味:人の弱みを握る事。特技:人を思い通り動かす事。モットーは『平和解決』。
恩は脅しよりタチが悪いと日々公言する男は、それを自ら立証してみせた。
崩れ落ち、ついでに佐伯を解放する少女を尻目に、
「じゃ、誰らだか知んないけど滅ぼすからヨロシク」
「誰かも知らずに滅ぼすってか!?」
現れた、10人程度の中の1人が悲痛な叫びを上げた。見てみれば、彼がこの衆の代表らしい。
もう少し見てみる。一団は、大体20〜40代程度だろうか? 8割は男。丁度こんな山で活動しやすい年代であり、それらしく服装も活動的。腰にナイフを差し、醸し出す雰囲気はことごとく悪い。
見てみて、
結論付ける。
「だって誰だか知ってから滅ぼしたら罪悪感沸くじゃん」
「『山歩きが趣味のちょっと見た目悪い一般市民集団』で推測終了か!?」
クレームがついたので再び見てみて・・・
パチン!
「そっかナイフ! 見落とすなんて俺も迂闊だったよ!!」
「そう! だから―――!!」
「君ら山菜採りの集団だね!? 確かこの街、地元料理が山菜の天ぷらだったし・・・」
「違げえ!!」
「あれ? 違った?
・・・おっかし〜なあ。サエくん、昨日君食べてなかったっけ?」
首を振って確認。佐伯も頷き、
「俺じゃなくって俺が気前良く奢ってやったヤツがな」
「いやあのお代はリョーガくんじゃ・・・」
「名物なのに、肉じゃないと怒ってたぞあの男。今のN●K朝ドラに失礼じゃないか」
「肉だけ食ってごちそうさました君の方が遥かに失礼だよ・・・」
「だって山菜なんて街外出れば飽きても食べられるし」
「確かにねえ・・・」
「だろ?」
「そっかそっか」
向き直り。
「じゃあ頑張ってくれてるトコ悪いけど、俺らは山菜は食べないって事でいい?」
「良くないわあ!!」
「つまり無理やりでも食え、と? せっかく名物料理なんだから」
「違げえだろーが!! 何で論点が完全にずれてんだよ!?」
「ええ?
だから君達は山菜採りの集団で、通りがかった俺らにぜひ一緒に食べないかと勧めてきたんじゃないの?」
「ンなワケないだろ!? 何脱線した挙句にその方向で壮大なストーリー作り上げちまってんだよ!?」
「山菜で壮大・・・?」
「スケールの小ささが一気に明らかになったな」
「うるっせえ!!
だから!! 俺らが何の集団かって話だ!!」
「だから山―――」
「菜はもういい!!」
「え? 他に何かある?
商人にしては荷物ないし、こんな山中に戦士とかはいないだろうし、旅人にしてはこの戦闘能力じゃあねえ・・・。出てすぐ野盗とかに襲われてジ・エンドっしょ」
「だから!! 俺らはその盗賊だ!!」
「ええっ!? 君らが!?」
―――C'.普通のヤツは普通だった。