プチ小説5 氷帝編1
他の4校と同じく、バーチャルワールドをさまよう氷帝一同。しかし彼らは他の4校は別の意味で(見方によっては同じ意味で)大変な目に遭っていた。
「なんだまた敵か。―――樺地!」
「ウス」
「―――って俺ですか!?」
「鳳!!」
「うわーーー!!」
「よくこれだけ次々と出てくるな。―――樺地!」
「ウス」
「――って今度は俺か!?」
「行ってこい、宍戸」
「ぎゃーーー!!」
そんなこんなで待ち伏せを35回程切り抜けた頃、ついに忍足と向日がぶち切れた。
「これ以上やってられへんわ!!」
「そーだそーだ!! 何で俺たちがてめーの身代わりに死ななきゃなんねーんだよ!!」
その言葉どおり、200人いたはずの氷帝メンバーは樺地の手によって跡部のための生きた盾となり、気が付いたら忍足・向日・跡部・樺地、そしてジローの5人を残すのみとなっていた。
「なんだ? 何か不満でもあるのか?」
『ありまくりだ!!』
自覚0の台詞を吐く跡部に、2人の呼吸がぴたりとハモる。
「もー我慢できへん! 俺らは別行動させてもらうわ!!」
「負け犬か?」
「アホか!! 俺らは無意味に命危険にさらしとうないゆーとるんや!!
―――ええな、岳人!?」
「あったりまえだろ!?」
「他に――まあ樺地はもちろん跡部と一緒やろ? ほな・・・・・・ジロー、お前どーする?」
「・・・へ? 俺?」
これだけの騒ぎですら彼にとっては心地よいBGMに過ぎないのか、壁にもたれて寝ていたジローががくりと首を垂れた後、ようやくゆっくりと顔を上げた。
焦点の合わない目をこすりながら呻く。
「ん〜・・・・・・楽な方」
(ほな今すぐ死にや・・・・・・)
肩をコケさせ寒いツっ込みを入れつつ、忍足は誰にとってかはよくわからないが最善の案を出した。
「せやったら樺地に背負ってもらい。そしたら楽できるで」
「んじゃ、そーする〜・・・・・・」
呟きながらまたウトウトするジローは放っておいて忍足は向日と共に3人とは違う道へと歩み始めた。絶望のない、希望溢れる未来へと――!!
―――やー氷帝。どこが? って感じですな。
さて、いきなり分裂。ジローが跡部サイドにいる理由はこうでもしないと忍足・向日ペアばっかり書きそうだからです。けどジローってあんま活躍出来なさそうだなあ。寝てばっかだし・・・・・・。
2002.10.22(write2002.10.21)