全国大会も差し迫ったとある暑い夏の日。テニス部男子女子集めての竜崎の台詞は、辺りの気温をを極限まで引き下げた。
Stare Star!
「いきなりの事だが、今度映画の撮影にウチの学校、特にテニス部が使われる事になった」
『はあ!?』
「その映画の内容というのが、テニス初心者の少女が男子テニス部の男に憧れミクスドを組もうというものらしい。で、だ。その映画撮影に絶対に必要になるのが『強豪テニス部』。エキストラを集めて練習させてもいいが主役2人はともかく全員をそのレベルにまで上げようと思ったら大変な労力となる。そこで予め強い学校の生徒らにエキストラに代わりになってもらったらどうだろうか、という話だそうだ」
竜崎の後を継ぎ、女テニ顧問の男子教諭が言う。
「そこで選ばれたのがウチの学校だ。男子も女子もまんべんなく強い。それなら特に問題ないだろう、と―――」
「―――先生」
手塚が珍しく教師の言葉を遮り手を上げた。マナーは良くないが今そんなものに構っているゆとりはない―――眉間に刻み込まれた普段の1.5倍の皺と、いつも以上の重苦しい雰囲気が頑なにそう物語っていた。
「俺達は今全国大会に向け調整中なのですが」
冗談ではない。夏休み明けの全国大会のためにこれから夏休み期間、目一杯練習しなければならないというのに! せっかく悲願の全国大会行きのチケットを手にしたというのに! 特に自分達3年はこれがラストチャンスだというのに!!
―――何が悲しくて映画の撮影などというものでそれを邪魔されにゃならんのだ!!!
無表情のままヒートアップする彼の思考。それに伴いどんどん自我が崩壊しているようだが、とりあえず見た目の仏頂面からそれを感じ取れた人間はいないであろう。ただしキリキリと痛む胃を押さえつける副部長は少なくとも同じ気分であろう、そう願いたい。
そんな彼らの気持ちは顧問ももちろんわかっていた。だからこそ―――沈痛な面持ちで呻いた。
「アタシもそう抗議した。けど学校側に取っちゃ宣伝の良い機会だ。しかも協力すればそれ相応の礼は出す、という。
―――すまないね。職員会議で反対したのはアタシたち2人だけなんだ」
つまり権力&数の暴力で押し切られたらしい。
眉間の皺をかつてないほど増やす手塚。胃を押さえてがっくり項垂れる大石。彼らもまた―――
「へえ。映画なんて面白そうじゃない」
「やりたいやりたい!! 俺も出てみたい!!」
―――違う意味の権力に押し潰される形で『快諾』したのだった。
不二リョ&大菊 |
メイツ×リョーマ(♀) |
M O V I E
さてどこででも取り扱っていそうな設定にて新たな話が始まりました。
なお今回(も)メイツが凶暴です。そしてついでに今後必然的に出てくる(ハズの)女テニ一同は【王子様get大作戦!】と同じ設定となります(まさかコレを使うハメになるとは・・・)。
2003.9.10〜
P.S.しっかし菊ちゃん。なぜ受けの方が『男らしい』んだろう・・・・・・?